後期潜伏梅毒もBPG 1回治療でよいかも

エッセンシャルな抗菌薬が枯渇する時代のリサーチ・クエスチョン

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

(© Adobe Stock ※画像はイメージです)

研究の背景:BPG 3回じゃなくても治せるんじゃね?

 以前、1期、2期、そして早期潜伏梅毒の治療は1回のベンジルペニシリンベンザチン(ベンザチンペニリシンG;BPG)注射で足りるのでは、という見解を支持する論文を紹介した(「梅毒はいかに治療すべきか?」)。

 今回紹介するのは、さらに踏み込んだ研究だ。後期潜伏梅毒(late latent syphilis)も標準治療であるBPG 3回でなくてもBPG 1回で治せるんじゃね?という後ろ向きコホート研究である。後期潜伏梅毒は、感染後1年以上経過した潜伏梅毒(無症候の梅毒)とされる。しかし、無症候の梅毒の大多数は感染時期が不明のため、実際には潜伏梅毒の多くが後期潜伏梅毒と診断される。後期潜伏梅毒の標準治療はBPG筋肉内注射を1週ごとに3回である。臀部に何度も注射するので痛いし、しんどいが、これが1回で済むなら患者も喜ばしいのではないだろうか。

Pugsley RA, et al. Is three really what we need? Relative effectiveness of benzathine penicillin G and doxycycline treatment regimens for late or unknown duration syphilis in 6 United States jurisdictions, 2016-2021. Clin Infect Dis 2026; :ciag099.

岩田 健太郎(いわた けんたろう)

神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)・神戸大学医学部付属病院感染症内科診療科長

1971年、島根県生まれ。島根医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院、アルバートアインシュタイン医科大学ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より現職。著書に『悪魔の味方 — 米国医療の現場から』『感染症は実在しない — 構造構成的感染症学』など、編著に『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』『医療につける薬 — 内田樹・鷲田清一に聞く』など多数。

岩田 健太郎
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