全般不安症に待望の治療薬、ベンラファキシンの実力
治験論文と関連論文を深読み
研究の背景:屑籠診断がなされる鵺のような病気?
以前は全般性不安障害と呼ばれていた全般不安症(Generalized Anxiety Disorder)という"病気"は、精神疾患の中でも、最もはっきりしないものの1つであろう。
パニック症、社交不安症、病気不安症、(不安症ではないが)心的外傷後ストレス症(PTSD)、強迫症などは、疾患としての輪郭がはっきり定まっている。
それに対し、全般不安症はさまざまな出来事への不安が起きる日の方が起きない日より多く、その心配を抑制できない、といった状態であり、「落ち着きのなさ、疲れやすさ、集中困難、易怒性、筋緊張、睡眠障害」のうち3つを伴う、というような診断基準であり、なんともつかみどころがない。さらに、その障害は、前述したような疾患群(パニック症、社交不安症など)によるものではない、という基準があることも相まって、いわゆる屑籠診断(より輪郭のはっきりした特定の疾患には当てはまらない場合にやむをえず下す診断)に見えても仕方がないところがある。
パニック症、社交不安症、PTSD、強迫症などに適応を持つ薬は数々あれど、全般不安症という、鵺(ぬえ)のような病名に対して保険適用を持つ薬は、これまで日本には存在しなかった。
そんな中で、全般不安症を適応とする治療薬の臨床試験(治験)が初めて日本で行われ、間もなく承認される見込みである。
今回は、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)ベンラファキシンが全般不安症の適用を申請する根拠となった治験の論文(Psychiatry Clin Neurosci 2025; 79: 849-858)を見てみよう。
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加藤 忠史(かとう ただふみ)
順天堂大学精神医学講座主任教授。1988年東京大学医学部卒業、同病院で臨床研修、1989年滋賀医大精神医科大学講座助手、1994年同大学で医学博士取得、1995年米・アイオワ大学精神科に留学(10カ月間)。帰国後、1997年東京大学精神神経科助手、1999年同講師、2001年理化学研究所脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームリーダー、2019年理化学研究所脳神経科学研究センター副センター長を経て、2020年4月から現職。
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