ドクターズアイ 鈴木重明(脳神経内科)

筋ジス新薬が問いかける「治療効果」証明の難しさ

エレジビスのEMBARK試験、主要評価項目「未達」を裏読み

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:神経筋疾患の薬効評価、認識にズレ

 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、幼少期から筋力低下が進み、やがて呼吸や心機能にも影響が及ぶ慢性進行性の神経筋疾患である。近年は呼吸管理や心筋症治療、ステロイド治療の進歩によって自然歴は変わってきたが、それでもなお、病気そのものの進行をどこまで抑制できるかは大きな課題として残っている。

 そうした中、マイクロジストロフィン遺伝子をアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターで導入するデランジストロゲン モキセパルボベク(商品名エレビジス点滴静注)は、「失われた蛋白を補う」という意味で大きな期待を背負って登場した。EMBARK試験(Nat Med 2025; 31: 332-341)は、その期待を真正面から検証した第Ⅲ相試験である。

【監修】鈴木 重明(すずき しげあき)

東京都立神経病院脳神経内科、副院長

1968年東京生まれ。慶應義塾高校から慶應義塾大学医学部に進学し、1993年卒業。ニューヨーク医科大学留学、慶應義塾大学准教授(内科学・神経)を経て、2025年4月より現職。重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン(日本神経学会)、がん免疫療法ガイドライン(日本臨床腫瘍学会)、スタチン不耐に関する診療指針(日本動脈硬化学会)の作成メンバー。都立神経病院では自己免疫ラボを立ち上げ、重症筋無力症、炎症性筋疾患、免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象など自己免疫疾患の臨床研究を展開中。

鈴木重明

【執筆】森島 亮(もりしま りょう)

東京都立神経病院脳神経内科医長/患者支援センター副センター長

1985年栃木県出身。2010年群馬大学医学部卒業後、自治医科大学附属病院、伊東市民病院、安房地域医療センターで内科・総合診療を中心に経験を積み総合内科・アレルギーの専門医を取得。2016年よりもともとの志望であった神経学を修めるべく東京都立神経病院脳神経内科に入職。以後、筋電図などの電気診断学、神経疾患の呼吸・緩和ケアと地域連携、感染・免疫疾患を主なフィールドとして研鑽を積み、新潟大学での博士号取得、ドイツ・ミュンヘン大学フリードリヒ・バウア研究所への留学を経て神経筋疾患を専門分野と位置付け、今に至る。2025年より東京都立神経病院脳神経内科医長、患者・地域サポートセンター副センター長。近年は災害対策などでの行政との連携、治験・多施設でのレジストリ研究に力を入れてて取り組んでいる。

森島亮
  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする