ドクターズアイ 岩井拓磨(消化器外科)

大腸がん肝転移、局所治療の土俵に乗せる症例は?

患者選択プロセスとしての全身治療

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:「同時性か異時性か」の先へ

 大腸がん肝転移では、「同時性か、異時性か」という時間的な分類が使われる。同時性遠隔転移は腫瘍生物学的にaggressiveで、異時性転移より予後不良と考えられることが多い。

 しかし、われわれは実臨床で「同時性か異時性か」だけを見ているわけではない。腫瘍数、腫瘍径、CEA(carcinoembryonic antigen、腫瘍マーカーの1種)、RAS/BRAF変異、原発巣の部位、肝外病変の有無、全身状態、そして局所治療の到達性を見ている。同時性/異時性というラベルは重要だが、それだけで患者の予後や治療方針が決まるわけではない。すなわち、予後を規定しているのは「同時性」という時間的ラベルそのものなのか。それとも、同時性として見つかる症例に多い腫瘍負荷、生物学的リスク、局所治療への到達困難性なのか。

 Kemna氏らは、大腸がん肝転移(colorectal cancer liver metastasis;CRLM)を有する患者において、転移の検出時期と生存との関連を、腫瘍因子および治療戦略を含めて検討している。「同時性だから予後が悪い」という従来のイメージを、もう一段分解した点が興味深い(JAMA Netw Open 2026; 9: e262088)。

岩井 拓磨(いわい たくま)

日本医科大学 消化器外科 病院講師

2007年日本医科大学 医学部卒業。同大学 消化器外科に入局し、助教、関連病院勤務を経て、同大学院 外科学講座にて博士号を取得(2018年Ph.D.)。大学院在学中には、Liquid Biopsyを用いた腫瘍評価法(第7215675号)や、血中DNA分解酵素活性を利用した絞扼性腸閉塞診断法(第6844833号)を開発し、特許取得するなど、臨床現場の課題解決に早くから注力。現在は大腸癌の手術・薬物療法を軸とした集学的治療のエキスパートとして臨床に当たる傍ら、個別化治療の最適化を目指したトランスレーショナルリサーチにも取り組む。

主な所属:日本内視鏡外科学会(評議員・技術認定医)、日本大腸肛門病学会(評議員・専門医)、日本外科学会(専門医・指導医)、日本消化器外科学会(専門医・指導医)、日本消化器病学会(関東支部評議員・専門医・指導医)、ESMO memberほか。

岩井 拓磨
  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする