ドクターズアイ 後藤穣(耳鼻咽喉科)

気候変動が変えるアレルギー性鼻炎の「実像」

専攻医として感じた「外来診療の限界」と「改善のための対応」

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする

〔編集部から〕気鋭のドクターが独自の視点で論考を展開する人気連載「Doctor's Eye」。今回から日本医科大学耳鼻咽喉科学教室教授の後藤穣氏の監修の下、同教室の医局員に担当制で執筆してもらうことになりました。耳鼻咽喉科領域を中心に、話題の最新論文を日常臨床の立場で徹底解説します。

研究の背景:気候変動は花粉症の「症状の苛烈さ」の正体

 耳鼻咽喉科医として歩み始めたばかりの私にとって、今シーズンの花粉症診療は、教科書的な知識だけでは太刀打ちできない「現場の厳しさ」を痛感する日々であった。抗ヒスタミン薬や点鼻ステロイド薬をガイドライン通りに処方してもなお、「全く効かない」「夜も眠れない」と切実に訴える患者を前に、自らの経験不足を省みる場面も少なくなかった。

 こうした「難治化」の背景を探る中で出会ったのが、2026年1月にJAMA Insightsで報告された気候変動とアレルギー性疾患に関する知見である(JAMA 2026; 335: 175-176)。近年の地球温暖化は、単に花粉の飛散期間を前倒しさせ、長期化させているだけではない。二酸化炭素濃度の増大が植物の生理活性を刺激し、花粉当たりのアレルゲン量そのものを増加させているという報告は、われわれ臨床医が直面している「症状の苛烈さ」の正体を科学的に裏付けるものであると考える。

監修:後藤 穣(ごとう・みのる)

日本医科大学大学院医学研究科頭頸部・感覚器科学分野 教授

1991年3月 日本医科大学医学部卒業
2004年4月 日本医科大学耳鼻咽喉科学 講師
2011年4月 日本医科大学耳鼻咽喉科学 准教授
2024年4月 日本医科大学花粉症学講座 教授
2025年4月 日本医科大学大学院医学研究科頭頸部・感覚器科学分野 教授

執筆:辻 理彩子(つじ・りさこ)

日本医科大学大学院医学研究科頭頚部・感覚器学分野

2023年3月 日本医科大学医学部卒業
2025年4月 日本医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科入局

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする