次なる敵、生理学的困難気道
急性期気道管理の最新エビデンス
研究の背景:ビデオ喉頭鏡普及後の難関
気管挿管は、麻酔、救急、集中治療における最も重要な手技の1つである。これまで困難気道(difficult airway)といえば、開口制限や頸椎可動域制限、小下顎症などに代表される「解剖学的困難気道(anatomically difficult airway)」が中心に議論されてきた。
実際、多くの医師にとって気管挿管は「いかに声門を視認し、気管チューブを挿入するか」という手技的な課題として捉えられていた。ところが、ビデオ喉頭鏡の普及によって状況は大きく変化した。従来であれば気管挿管が困難となりうる症例においても、良好な声門視野が得られるようになった。Difficult Airway Society(DAS)をはじめとする各種ガイドラインにおいても、ビデオ喉頭鏡が推奨されているのは以前、取り上げた通りである(関連記事「備えていますか?困難気道への対策」「蘇生ガイドライン2025が『始動』」)。
一方で、救急外来や集中治療室、さらには緊急手術における気管挿管では、依然として重篤な合併症が発生している。急性期患者では、重症低酸素血症や循環不全、代謝性アシドーシスなどの生理学的異常を背景に有することが多く、気管挿管に伴って生理学的破綻を生じる危険性がある。
このような「生理学的困難気道(physiologically difficult airway)」への対応が、急性期気道管理において重要である。29カ国197施設が参加したINTUBE studyでは、気管挿管後30分以内の重度低酸素血症、循環不安定、心停止といった重大な有害事象が45.2%の症例に認められた(JAMA 2021; 325: 1164-1172)。
今回は、BMJに掲載された「Airway management of adults in the acute care setting」を取り上げる(2026; 393: e086612)。近年の主要なランダム化比較試験(RCT)やシステマティックレビューなどから、急性期における気道管理の最新知見がまとめられている。本稿では、総説の内容を概説するとともに、生理学的困難気道という視点から、救急・集中治療領域における気道管理の現在地と今後の展望について考察する。
全文を読むにはログインが必要です
ログインして全文を読む
無料でいますぐ
会員登録を行う
- ご利用無料、14.5万人の医師が利用
- 医学・医療の最新ニュースを毎日お届け
- ギフト券に交換可能なポイントプログラム
- 独自の特集・連載、学会レポートなど充実のコンテンツ
\ 60秒でかんたん登録 /
会員登録
.jpg)











