ドクターズアイ 加藤忠史(精神)

はやりの「テクノロジー妄想」を知ろう

「私のスマホがハッキングされた」

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研究の背景:妄想の「内容」に注目するのはグレードの低い研究?

 学生を相手に講義するとき、「妄想とは何か」について、いつも説明している。

 妄想とは、➀事実と違うことを、➁異常に強く確信し、➂訂正できない―という3つの特徴を持つ。他の精神症状から理解できる二次妄想(うつ病の罪責感からくる罪業妄想など)と、他の症状では説明できない一次妄想(妄想着想、妄想気分、妄想知覚)に分類される。

 そして、統合失調症に特徴的な症状であるシュナイダーの一級症状に含まれる、思考伝播、思考察知、作為体験、身体的被影響体験などは、自我障害の反映と考えられている。

 このように、妄想については、「内容」よりも「形式」に注目するのが古典的な精神病理学であり、最近の自著『「心の病」がみえる脳科学講義』(2025、翔泳社)の中でも、妄想についてはそのように説明した。

 すなわち、妄想については、その形式に注目するのが高尚な精神病理学で、内容に注目するのはグレードの低い研究であるというような風潮がある。とはいえ、妄想についての理解も、時代に伴ってアップデートしなければならないのでは、と気にはなっていた。

 現代におけるテクノロジー妄想についての論文を見つけたので、紹介したい(Br J Psychiatry 2025年11月3日オンライン版)。

加藤 忠史(かとう ただふみ) 

 順天堂大学精神医学講座主任教授。1988年東京大学医学部卒業、同病院で臨床研修、1989年滋賀医大精神医科大学講座助手、1994年同大学で医学博士取得、1995年米・アイオワ大学精神科に留学(10カ月間)。帰国後、1997年東京大学精神神経科助手、1999年同講師、2001年理化学研究所脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームリーダー、2019年理化学研究所脳神経科学研究センター副センター長を経て、2020年4月から現職。

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