HFpEFにおける尿酸を再定義!
単なる併存所見から病態修飾因子へ
研究の背景:尿酸は「検査値異常」ではない
心不全診療において、左室駆出率(LVEF)が保たれた心不全、すなわちHFpEFは今後ますます重要性を増す疾患概念である。高齢化に加え、高血圧、2型糖尿病、肥満、心房細動、慢性腎臓病(CKD)などの併存疾患を背景に、HFpEFの患者数は増加している。
一方で、LVEFが40%未満の心不全(HFrEF)と比較すると、HFpEFでは病態が多様であり、単一の治療標的を見いだすことが難しい。実臨床でも、息切れや浮腫を訴える高齢患者において、左室収縮能は保たれているにもかかわらず、拡張障害、左房拡大、肺高血圧、腎機能障害、心房細動、肥満、炎症などが複雑に絡み合う症例をしばしば経験する。
このようなHFpEFの複雑な病態を理解する上で近年、注目されているのが血清尿酸値である。尿酸はプリン代謝の最終産物であり、従来は痛風や腎障害との関連で語られることが多かった。しかし、尿酸は単なる代謝マーカーではなく、酸化ストレス、炎症、血管内皮障害、微小循環障害、インスリン抵抗性、心筋線維化など、HFpEFの病態に深く関与しうる分子として再評価されている。
今回取り上げるJie Tan氏らの総説は、HFpEFにおける尿酸の疫学的意義、病態生理学的機序、尿酸低下療法の可能性を体系的に整理したものである(Cardiol Rev 2026年5月8日オンライン版)。中心的なメッセージは、尿酸を「HFpEF患者にしばしば認める検査値異常」としてではなく、「HFpEFの進展に関与しうる病態修飾因子」として捉え直す必要がある、という点にある。
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