ドクターズアイ 橋本洋一郎(脳卒中)

次々と登場する片頭痛予防薬、臨床での選択は

米ガイドラインが14年ぶり改訂

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研究の背景:CGRPを標的とする新しいクラス薬の登場

 世界人口の15.8%が、ある特定の日に頭痛を経験している。世界的に見て、片頭痛は「障害生存年:障害を伴って生活する期間(YLDs)」の主な原因の第2位となっている。米国では、頭痛性疾患は女性における「障害調整生存年(DALY)」の主な原因の第3位、男性では第5位であり、その大部分は片頭痛が占めている。2007年の米国データを用いた経済モデルの推定では、その年に片頭痛がもたらした直接費用は110億ドル、間接費用は120億ドルに上った。

 片頭痛に対しては、発作頻度や障害の程度に基づき、予防薬の使用が推奨されている。これらの薬剤は、頭痛による全体的な負担を軽減し、患者が報告する生活の質(QOL)を改善する。しかし、こうした治療の検討対象となる片頭痛患者のうち、実際に使用しているのはわずか3分の1にとどまる。

 成人における片頭痛の薬物予防に関する、米国神経学会(AAN)と米国頭痛学会(AHS)による前回の合同診療ガイドラインは2012年に発表された。それ以降、反復性片頭痛および慢性片頭痛の予防における薬剤の有効性を検証する新たな研究が行われており、その中にはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とする新しいクラスの治療薬も含まれている。

 今回、AANガイドライン小委員会およびAHSによる報告として「成人における片頭痛予防のための薬物療法に関するシステマティック・レビュー」(Neurology 2026; 107: e218112)と「成人における片頭痛予防の薬物療法:診療ガイドラインの推奨」(Neurology 2026; 107: e214881)の2つの論文が発表された。14年ぶりの改訂になる。

橋本 洋一郎(はしもと よういちろう)

済生会熊本病院脳卒中センター特別顧問

1981年鹿児島大学医学部卒・熊本大学第一内科入局、1984年国立循環器病センター、1987年熊大第一内科、1993年熊本市民病院神経内科、2022年より現職。専門は脳梗塞、頭痛、禁煙支援、リハビリテーション、医療連携。急性期病院の医師として脳卒中診療ネットワーク構築の中で多彩な活動を行っている。日本脳卒中学会名誉会員、日本頭痛学会・日本禁煙学会の理事。

橋本 洋一郎
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