「消えたポリープ状病巣」に投与は不要か?
未治療PCVへのファリシマブ単群試験
研究の背景:PCVは「難治」なのか、「ポリープが閉じない」だけなのか
ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy;PCV)は、アジア人の新生血管型加齢黄斑変性(neovascular age-related macular degeneration;nAMD)の最大55%を占める。にもかかわらず、この疾患は長く「治療困難」と形容されてきた。表現型が不均一で、黄斑出血を起こしやすく、抗血管内皮細胞増殖因子(VEGF)療法への反応が読みにくいためである。無治療で経過すれば、出血・網膜色素上皮(retinal pigment epithelium;RPE)の萎縮・持続する滲出により、およそ50%で有意な視力低下に至る。
もっとも、難治の中身は一様ではない。視力に関していえば、抗VEGF単剤療法でも1年の成績は決して悪くない。問題はポリープ状病巣そのものの制御である。単剤療法での完全退縮率は、EVERESTⅡ試験で52週時33.8%(JAMA Ophthalmol 2020; 138: 935-942)、PLANET試験で52週時38.9%(JAMA Ophthalmol 2018; 136: 786-793)、PULSAR試験の PCVコホートで48週時37~47%(JAMA Ophthalmol 2026; 144: 129-137)にとどまった。単剤治療を終えた時点で半数以上に灌流の残るポリープ状病巣が認められたとする報告もある。
灌流したポリープ状病巣は突然の出血源になりうる。だからこそ、ベルテポルフィン光線力学療法(photodynamic therapy;PDT)の併用が選択肢として残ってきた。しかしPDTには、レーザーとベルテポルフィンへのアクセスという制約に加え、脈絡膜毛細血管板とRPEへの傷害、脈絡膜虚血、続発性脈絡膜血管新生という代償がある。
こうした中、作用機序の異なるVEGF阻害薬ファリシマブが登場した。アンジオポエチン-2(Ang-2)は網膜血管のVEGFに対する感受性を高め、異常な血管増殖と透過性亢進に寄与する。ファリシマブはAng-2とVEGF-Aを同時に阻害する二重特異性抗体である。ただし、第Ⅲ相試験TENAYA/LUCERNEではインドシアニングリーン蛍光造影(indocyanine green angiography;ICGA)の施行が限られ、PCVと診断された患者は約1%にすぎなかった(Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 2023; 261: 3125-3137)。PCVに対する成績は事実上、空白だったのである。
今回紹介するのは、その空白を埋めるために設計された第Ⅲb/Ⅳ相試験SALWEENである(Ophthalmol Retina 2026年8月12日オンライン版)。
全文を読むにはログインが必要です
ログインして全文を読む
無料でいますぐ
会員登録を行う
- ご利用無料、14.5万人の医師が利用
- 医学・医療の最新ニュースを毎日お届け
- ギフト券に交換可能なポイントプログラム
- 独自の特集・連載、学会レポートなど充実のコンテンツ
\ 60秒でかんたん登録 /
会員登録
.jpg)














