"最強の治療法"トリプル吸入療法は諸刃の剣
COPD治療のマイルストーンFULFIL試験
研究の背景:重症例はどの選択肢でも満足なコントロール得られず
これまで慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療といえば、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)あるいは長時間作用性β2刺激薬(LABA)、またはその合剤(LAMA/LABA)であった。この礎をつくったのはLAMA、特にチオトロピウム(スピリーバ®)のUPLIFT試験の結果である(N Engl J Med 2008;359:1543-1554)。この試験でLAMAは4年にわたり呼吸機能を改善し、全死亡率を有意に低下させた。また、LABAはLAMAと同程度の症状改善効果・肺機能改善効果があるとされ(Am J Respir Crit Care Med 2010;182:155-62)、国内外のガイドライン上はLAMAと肩を並べている。
一方で、COPDに対する吸入ステロイド薬(ICS)とLABAの合剤は、LABA単剤と比べてCOPD増悪の頻度を抑制するとされている(Cochrane Database Syst Rev 2012;(9):CD006829)。そのため、症状が強いCOPD患者にはLAMAあるいはLABA、LAMA/LABA、増悪を繰り返す患者にはICS/LABAを用いるプラクティスが一般的であった。
しかし、重症例はそのいずれの選択肢でも満足なコントロールが得られなかった。そのため、"最強"のCOPD吸入薬としてトリプル吸入療法(LAMA/LABA/ICS)が最も有効ではないのか―そういう意見が出てきた。このような中、FULFIL試験が発表された(Am J Respir Crit Care Med 2017年4月4日オンライン版)。呼吸器内科医にとって2017年で1、2を争うくらい重要な臨床試験と言えるだろう。私は、これはCOPD治療のマイルストーンとなる研究と考えている。
全文を読むにはログインが必要です
ログインして全文を読む
無料でいますぐ
会員登録を行う
- ご利用無料、14.5万人の医師が利用
- 医学・医療の最新ニュースを毎日お届け
- ギフト券に交換可能なポイントプログラム
- 独自の特集・連載、学会レポートなど充実のコンテンツ
\ 60秒でかんたん登録 /
会員登録
倉原 優 (くらはら ゆう)
国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年より現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。










