専門医試験は専門性を担保しているか
研究の背景:米国では専門医資格の維持でもめている
僕は日本と米国の両方で内科、感染症の専門医資格を持っている。米国の場合は専門医資格の維持、更新条件が厳しく、またルールがコロコロ変わるので油断できない。
日本と違い、米国では専門医制度が各専門領域の学会から独立しており、例えば内科系ならAmerican Board of Internal Medicine (ABIM)がこれを統括している。米国の内科学会(American College of Physicians; ACP)や医師会(American Medical Association; AMA)あるいは感染症医の専門家団体(Infectious Diseases Society of America; IDSA)は、専門医制度とは直接関係を持たない。利益相反を避け、専門医資格の独立性を担保するためだ。
一方、日本では専門医資格が学会の"ご褒美"になっている(ところがある)。分野によって専門医取得のハードルの高さには差があるが、多くの学会は「学術集会に参加し、あるいは発表し」「学会に○年間所属し」「学会が出版する学術誌に論文を掲載する」といった、学会への貢献が専門医資格取得の条件にカウントされる。学会に貢献したご褒美としての専門医資格、という側面があるのだ。このような利益相反も、せめて専門医資格が医師の臨床能力を担保しているのであれば、まだよいのだが、果たして。
とはいえ、米国の状況も万々歳とはいえない。近年批判されているのが、ABIMの"行き過ぎ"である。すなわち、ABIMは各専門医の専門医資格維持、更新のためにMaintenance of Certification (MOC)という課題をこなすことを義務化したのだが、これが面倒くさすぎて現場の大反感を買ったのだ。
Teirstein PS. Boarded to Death -- Why Maintenance of Certification Is Bad for Doctors and Patients. New Engl J of Med 2015 Jan 8; 372(2): 106-108.
ABIMも反論する。確かにMOCは面倒くさいかもしれない。しかし、プロとは面倒くさいものなのだ。プロの実力を担保するには、努力し続けなければならない。つべこべ言わんと努力せんかい、とまでは言っていないが、専門医資格維持のためには質の担保は欠かせないのだ、という主張は曲げない。そして、それは正しい。
Baron RJ, Braddock CHI. Knowing What We Don't Know -- Improving Maintenance of Certification. New Engl J of Med 2016 Dec 29; 375(26): 2516-2517.
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岩田 健太郎(いわた けんたろう)

1971年、島根県生まれ。島根医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院、アルバートアインシュタイン医科大学ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)・神戸大学医学部付属病院感染症内科診療科長。 著書に『悪魔の味方 — 米国医療の現場から』『感染症は実在しない — 構造構成的感染症学』など、編著に『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』『医療につける薬 — 内田樹・鷲田清一に聞く』など多数。
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