臨床医泣かせの結核性胸膜炎の診断に朗報
有力な胸水マーカーが登場
研究の背景:結核菌が検出できず、往々にして状況証拠だけで診断
呼吸器内科医にとって、結核性胸膜炎の診断は「決め手に欠ける」ことがしばしばある。結核菌が証明できれば簡単じゃないかと思われがちだが、実は結核性胸膜炎では結核菌の証明がなかなかできない。つまり胸水検査による偽陰性が非常に多い。胸腔鏡で病変を取っても、100%の除外ができないややこしい疾患なのだ。
そのため、結核菌に感染した胸水であることを証明すべく、ありとあらゆるマーカーが開発された。その中で現在最も有力とされているのがアデノシンデアミナーゼ(ADA)である。非呼吸器内科医、非感染症科医の間でもADAが結核感染症によって上昇することはよく知られている。
胸水検査の場合、ADAのカットオフ値は40U/Lに設定されている。これは高い陰性適中率に基づいたカットオフ値であり、これを下回っている場合はほぼ結核性胸膜炎が否定される(Eur Respir J 2003;21:220-224、Respir Med 2008;102:744-754)。ただし、リアルワールドでの特異度は実はそこまで高くない。というのも、胸水貯留例だけをざっと拾い集めると、結構な頻度で肺炎随伴性胸水などの細菌感染症が入ってくる。がん性胸膜炎も少なくない。実は、ADAはカットオフ値をどこに設定しても実臨床で偽陽性がかなり多いのだ。例えば膿胸の場合、ADAが100U/Lを優に超える。
そのため、私たちはADAだけでなく、細胞分画(結核性胸膜炎ではリンパ球比率がかなり高くなる)も参考にして総合的に判断している。結核菌が検出されればベストなのだが、状況証拠だけで結核性胸膜炎と診断しなければならない場面が往々にしてある。
今回紹介する論文は、そんな悩める医師たちにとって希望の光になるかもしれない胸水中マーカーを報告した研究である(Thorax 2017年8月26日オンライン版)。
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倉原 優 (くらはら ゆう)
国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年より現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。










