研究の背景:血糖管理を改善するisCGM、保険適応が拡大 これまでに何度か、間歇スキャン式持続グルコースモニター(isCGM)を話題にしたことがある〔関連記事「2017年、血糖測定新時代の幕開け」「実証された"血糖測定は血糖管理を改善"」「Flash Glucose Monitoringで血糖が安定改善」:これまではFlash Glucose Monitoring(FGM)としていたが、学術的にisCGMと呼称することが一般的になってきたので、今回の稿からisCGMとする〕。 すなわち、isCGMの機器(商品名FreeStyleリブレ)が採血不要な血糖測定法として登場するや欧米において血糖改善効果を示し、わが国においても有効性が確認され、血糖管理に新時代をもたらしたという一連の話題である。実は、今年(2022年)4月にisCGMの保険適応がさらに拡大され、インスリン注射を1日1回以上実施している糖尿病患者がisCGMの適応となったのである。これまでは、インスリン頻回注射療法中の患者か、インスリン頻回注射療法を実施した後に混合型インスリン2回注射療法を実施している患者が適応だったので、大きく対象患者が増えたことになる。 そんな中、フランスのグループが、isCGMの導入後に糖尿病急性代謝失調(一般には糖尿病性ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧状態、低血糖昏睡などの総称)が減少したことをDiabetes Technol Therに報告した(2022; 24: 611-618)。実は、同じグループは既にisCGM導入後1年の経過の中で急性代謝失調が減少したことをDiabetes Careに報告していたのであるが(2021; 44: 1368-1376)、今回は2年の経過での報告である。前後比較であり、因果関係を論じることはできないが、おそらくはisCGMの導入により血糖値の見える化が生じ、急性代謝失調を患者自ら(あるいは家族の関与)で予防できるようになることを期待させる結果であり、ご紹介したい。