どうする?神経疾患患者の緩和ケア

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研究の背景:がん患者に比べ、神経疾患患者は緩和ケアを受ける割合が低い

 緩和ケアとは、重篤な疾患に直面している患者本人および家族のQOL向上と苦痛軽減のためのアプローチを指すものであり、多面的な苦痛への介入によって患者や家族の苦痛軽減、医療システムの改善などが期待できる。苦痛に対処するものであるため、国際人道団体は緩和ケアへのアクセスを人権問題と捉えている。

 緩和ケアの成果を示すエビデンスが蓄積されているにもかかわらず、その恩恵を受けるべき人のうち、実際に受けている人は14%に満たない。注目すべきは、神経疾患患者が緩和ケアを受ける割合はがん患者に比べて低いということだ。神経疾患患者の世界的な増加に伴い、その差は拡大する可能性がある。

 したがって、神経疾患患者の緩和ケアへのアクセス状況を改善することは喫緊の課題である。Lancet Neurologyに「神経疾患を有する成人患者のニーズをサポートする緩和ケア」に関するレビューが掲載されたので、図や表を中心に紹介する(Lancet Neurol 2023; 22: 619-631)。

橋本 洋一郎(はしもと よういちろう)

済生会熊本病院脳卒中センター特別顧問。1981年鹿児島大学医学部卒・熊本大学第一内科入局、1984年国立循環器病センター、1987年熊大第一内科、1993年熊本市民病院神経内科、2022年より現職。専門は脳梗塞、頭痛、禁煙支援、リハビリテーション、医療連携。急性期病院の医師として脳卒中診療ネットワーク構築の中でいろいろな活動を行っている。日本脳卒中学会・日本頭痛学会・日本禁煙学会の理事。

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