明示されたケトン産生食の安全性レベル
SGLT2阻害薬使用者でもDKA発生率は1,000人・年当たり2.9件
研究の背景:私も10年以上前はケトン産生食を否定していた
私は10年以上前から緩やかな糖質制限食を臨床の現場に導入し、研究も行ってきた。昨年(2024年)の日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』における糖質制限食の採用にも一定の役割を果たしたものと自負している。一方、このガイドラインにおいて、「遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保する科学的根拠が不足しており、現時点では勧められない」と記載されたのが極端な糖質制限食(ケトン産生食)である。
確かに2006年のN Engl J Med(2006; 354: 97-98)とLancet(2006; 367: 958)に、糖尿病でない人が減量目的にケトン産生食を実施してケトアシドーシスに陥ったという症例報告が掲載されて以降、ケトン産生食にはケトアシドーシスのリスクがあるとされることが一般的になった。
私自身のケトン産生食に対する今のスタンスは、「食生活がつらくなる(遵守しがたい)のでこちらから勧めることはしないが、患者自身が望むのであれば尿ケトン体をチェックしながら実施することを止めない」というものである。しかし、10年以上前に緩やかな糖質制限食を北里研究所病院で採用した当初は、「ケトン産生食はやってはいけない」としていた。それは、かつては私もケトン体にはリスクがあると思っていたからである。
こうした私のケトン体に対する認識の変化は、本連載でも紹介させていただいているが(関連記事「ケトン産生食への不安払拭! 死亡リスクが低下」)、このたび、ケトン産生食によって(ケトアシドーシスを含む)病的ケトーシスが生じる頻度についての報告が米・コロラド州デンバーの施設からなされた(Diabetes Obes Metab 2025; 27: 2531-2539)。
単施設の報告であり、日本人でのデータではないという制約はあるが、それでもSGLT2阻害薬を使用している糖尿病患者における糖尿病ケトアシドーシス(DKA)の発生率が1,000人・年当たり2.90件という数値は、糖質制限食(特にケトン産生食)に関心を持つ医療従事者・患者のいずれに対しても重要な情報であると考え、ご紹介したい。
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