研究の背景:発症前の「前臨床期」を捉える試み クローン病(CD)の病態解明が進む中、診断される数年前から免疫学的・生化学的な変化が生じる「前臨床期(preclinical phase)」の存在が明らかになりつつある。米国のPREDICTS研究(Gastroenterology 2020; 159: 96-104)やデンマークのコホート研究(Cell Rep Med 2023; 4: 101263)では、診断の数年前から特定の抗微生物抗体や炎症マーカーの値が上昇していることが報告された。 もし発症リスクを正確に予測できれば、早期介入や予防につながる可能性がある。 今回紹介するWu氏らの研究は、カナダを中心とした大規模前向きコホート研究CCC-GEMプロジェクト(Gastroenterology 2021; 161: 1540-1551)のデータを用いて、 CD患者の一親等血縁者(親・子・きょうだい、FDRs)で、無症状の健康な人における特定の抗体反応が、将来のCD発症を予測できるかを検討した。さらに、その抗体の認識部位を明らかにしたことで、病態理解においても重要な知見をもたらした(Clin Gastroenterol Hepatol 2026年1月12日オンライン版)。