ドクターズアイ 菅野義彦(腎臓内科)

進んで進んで進みまくれ!腎臓病治療

IgA腎症に対するステロイド療法反応性の遺伝子解析

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背景:役者はそろった。次は治療の効率だ

 慢性腎臓病(CKD)、その中でも原疾患として代表的なIgA腎症の治療が大きく進歩することへの期待について前回紹介した(関連記事「腎臓内科に治療薬の春が来た!」)。他の領域に比べ腎臓領域では治療面で大きく後れを取っていたのが、ようやく役者がそろい始めたというところであろうか。

 しかし、そろった役者をやみくもに出演させればよい舞台になるのか。いや、やはりこれを受ける役者側の条件も考えることが、腎臓領域の進むべき次の段階であろう。がん領域をはじめ、薬剤の治療反応性は既に検討されている。われわれもそうした視点を持っていなかったわけではないが、腎臓病の特徴の1つである進行に時間がかかる点が、どうしても言い訳になってしまう。私の外来にも先代、先々代の主治医のときから通院している患者が少なくなく、自分の治療が正しかったのか、そうでなかったのか、当事者である彼ら自身が知らないことも多い(私も前施設での外来患者の現状は分からない)。

 今回紹介する臨床研究は、中国・北京大学第一病院発で、同国の第一線における研究と言えよう。

Xu, Lin-lin; Zhou, Xu-jie1; Bi, Wenjian2; Zhang, Peipei3; Shi, Su-fang1; Liu, Li-jun1; Lv, Ji-cheng1; Zhang, Hong. Genetic Determinants of Steroid Responsiveness in IgA Nephropathy. J Am Soc Nephrol 2025年12月11日オンライン版.

 筆頭著者のLin-lin氏のプロフィールは不明だが(同大学内に同姓同名が多い)、責任著者のZhan Hong(張洪)教授は岡山大学前学長である槙野博史氏の腎臓内科研究室に留学し、2001年に博士号を取得している。米・イェール大学で分子遺伝学を学んだ後、2005年から北京大学の教授を務めるエリートである。国際腎臓学会でも要職を務める他、前回紹介したIgA腎症の治療に関する数々の国際共同研究では中国における主任研究者となっている。こうした新しいIgA腎症の治療成績に関しては十分とはいえないが、今回の研究はこれまで標準治療とされてきたグルココルチコイド療法に対する反応性と遺伝子の関係を検討したものである。

菅野 義彦(かんの よしひこ)

東京医科大学腎臓内科学分野主任教授

1991年慶應義塾大学医学部卒業。同大学院進学後、米国ジョージワシントン大学、国立衛生研究所に留学。埼玉医科大学腎臓内科、医学教育センター、慶應義塾大学医学部血液浄化・透析センターを経て2013年より現職。2018年より大学病院副院長(医療安全・危機管理)、2024年より大学副学長補佐を務める傍ら2021年システムデザインマネジメント学修士、2025年教育学修士を取得。腎臓・高血圧・透析領域のみならず感染症、老年医学、医学教育などの専門資格を有する。また臨床栄養学に関するオピニオンリーダーの1人でもあり、日本臨床栄養学会、日本病態栄養学会の理事を務める。

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