ドクターズアイ 小林拓(消化器)

潰瘍性大腸炎に虫垂切除、難治例では?

生物学的製剤不応例に対する初の前向き研究COSTA

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研究の背景:ACCURE試験では寛解期での再燃予防の有効性を示す

 潰瘍性大腸炎(UC)は慢性炎症性疾患であり、治療の目標は症状の改善にとどまらず、粘膜治癒を達成し長期的な再燃を防ぐことである。近年、治療の中心は生物学的製剤やJAK阻害薬などのadvanced therapyへと移行し、治療選択肢が大きく広がった。とはいえ、advanced therapyには薬剤抵抗性や副作用、薬剤費の問題もあるため、非薬物的介入の意義が完全に失われたわけではない。

 虫垂とUCの関連については以前から多くの疫学的・免疫学的研究が報告されている(Nat Rev Gastroenterol Hepatol 2023; 20: 615-624)。虫垂切除歴がUCの発症リスクと負の相関を示すこと(Am J Gastroenterol 2001; 96: 1123-1126)や、UC患者における手術リスク低下との関連(Am J Gastroenterol 2017; 112: 1311-1319)などが報告されており、虫垂が腸管免疫に関与する可能性が示唆されてきた。

 こうした背景の下、昨年(2025年)報告されたACCURE試験では、寛解期UC患者において虫垂切除が再燃予防に有効であることがランダム化比較試験(RCT)で示され(Lancet Gastroenterol Hepatol 2025; 10: 550-561)、以前紹介した(関連記事「虫垂切除は潰瘍性大腸炎の治療になるか?」)。

 今回報告されたCOSTA試験は、その延長線上に位置付けられる研究であり、生物学的製剤不応の活動期UCにおいて虫垂切除が寛解導入に有効かどうかを前向きに検討した初めての研究である(Lancet Gastroenterol Hepatol 2026; 11: 190-203)。

小林 拓(こばやし たく)

北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター センター長、病院長補佐、消化器内科部長、北里大学医学部消化器内科学 准教授

「1998年、名古屋大学医学部卒業。関連病院で研修の後、2004年より慶應義塾大学消化器内科特別研究員として炎症性腸疾患の研究に従事、2008年医学博士。2009年、米・ノースカロライナ大学博士研究員、2012年北里研究所病院消化器内科医長を経て炎症性腸疾患先進治療センター副センター長、2022年より現職。 日本消化器病学会(専門医・指導医・学会評議員・ガイドライン委員)、日本消化器内視鏡学会(専門医・指導医・学術評議員)などに所属。日本炎症性腸疾患学会では国際交流委員会、機関誌編集委員会委員長、European Crohn's and Colitis Organisationのクローン病ガイドライン委員を歴任。

小林 拓
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