心筋梗塞後のβ遮断薬はいつやめるべきか?
慢性期患者対象SMART-DECISION試験の答え
研究の背景:β遮断薬をめぐるもう1つの未解決問題
心筋梗塞(MI)後のβ遮断薬は、循環器領域において最も長い歴史を有する再発(二次)予防治療の1つである。1980年代に実施された複数のランダム化比較試験(RCT)で、β遮断薬により死亡率が有意に低下することが示され、その後数十年にわたり「MI後は原則投与・長期継続」という治療戦略が確立されてきた。
しかし、これらのエビデンスは再灌流療法が普及していない時代に得られたものである。現在では、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)による迅速な再血行再建、スタチンによる強力な脂質低下療法、さらには抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)やSGLT2阻害薬などを含む包括的治療により、MI後の予後は劇的に改善している。以上のような背景から、従来のエビデンスをそのまま現代医療に適用してよいのかという疑問が生じている。
特に議論となっているのが、左室駆出率(LVEF)が保たれた患者(LVEF 40~50%以上)におけるβ遮断薬の意義である。観察研究やメタ解析において一貫した結論が得られておらず、「有効性は限定的ではないか」という見方が徐々に広がっていた。
こうした問題に対し近年、N Engl J Medに相次いで報告された複数のRCTが新たな視点を提供している。LVEF 40%超のMI後患者が対象のREBOOT試験(2025; 393: 1889-1900)で、β遮断薬は主要複合イベント(全死亡、MI再発、心不全入院)を抑制しなかった〔ハザード比(HR)1.04、95%CI 0.89~1.22〕。5試験を統合しLVEF 50%以上の症例を対象とした個別患者データメタ解析(2026; 394: 540-550)でも、全死亡、MI再発、心不全の複合イベントに有意差は認められなかった(HR 0.97、同0.87~1.07)。一方で、BETAMI-DANBLOCK試験(2025; 393: 1901-1911)では、β遮断薬により複合イベント(全死亡、MI再発、予定外冠動脈再血行再建、虚血性脳卒中、心不全、悪性心室性不整脈)が有意に減少するという結果が報告された(HR 0.85、同0.75~0.98)。
上記は、昨年(2025年)12月に本連載で取り上げた内容であり(関連記事「心筋梗塞後のβ遮断薬は本当に必要なのか?」)、N Engl J Medの3論文によって「β遮断薬は、もはやMI後患者にとって一律に必要な治療ではない」というメッセージを示したと思われる。
他方「β遮断薬の投与を開始すべきか否か」すら明確でない状況の中で、もう1つ重要な未解決問題が残されていた。それが「いったん開始したβ遮断薬をいつまで継続すべきか」という問いである。今回は、この臨床的問いに直接答えたSMART-DECISION試験(N Engl J Med 2026; 394: 1302-1312)を紹介する。
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