睡眠時無呼吸へのCPAP、「誰に効くか」が鍵
心血管疾患合併患者対象の3RCT統合解析
研究の背景: CPAPは心血管イベントを減らすのか?
閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea;OSA)は冠動脈疾患、脳血管疾患、心不全、高血圧、不整脈など、さまざまな心血管疾患と関連する重要な病態である。特に中等症から重症のOSAでは、心血管イベントリスクの上昇が繰り返し報告されてきた。
一方で、OSAに対する代表的治療である持続陽圧呼吸療法(continuous positive airway pressure;CPAP)が心血管イベントを抑制するかについては、長らく議論が続いている。観察研究ではCPAPによる心血管保護効果が示唆されてきたが、冠動脈疾患や急性冠症候群、脳血管疾患を有する患者を対象とした大規模ランダム化比較試験(RCT)、すなわちRICCADSA(Am J Respir Crit Care Med 2016; 194: 613-620)、ISAACC(Lancet Respir Med 2020; 8: 359-367)、SAVE(N Engl J Med 2016; 375: 919-931)では、主要心血管・脳血管イベント(major adverse cardiovascular and cerebrovascular events;MACCE)の明確な抑制効果は示されなかった。
そのため、現在の臨床ではCPAPの主目的が眠気の改善、睡眠の質やQOL向上に置かれることが多い。循環器医の立場から見ると、「OSAは心血管の危険因子であるが、CPAPで心血管イベントを減らせるかは不確か」という状況が続いていた。
今回紹介するA. Azarbarzin氏らの研究は「全てのOSA患者が同様に心血管リスクが高いわけではなく、CPAPで心血管イベントを低減できるのは特定の高リスク表現型に限られるのではないか」という仮説を検証したものである(Eur Heart J 2026; 47: 2077-2089)。同氏らは、過去に実施された3件のRCTを個票レベルで統合し、OSAの生理学的特徴に基づいてCPAPの心血管保護効果を再評価した。
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