ドクターズアイ 米田正人(消化器内科)

MASLD診療、「誰が診るか」を変える非侵襲的検査

専門医依存から決別してつながる医療へ

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〔編集部から〕気鋭のドクターが独自の視点で論考を展開する人気連載「ドクターズアイ」の執筆陣に、今月から新たに横浜市立大学肝胆膵消化器病学主任教授の米田正人氏が加わりました。消化器領域を中心に、話題の最新論文を日常臨床の立場で徹底解説していただきます。

研究の背景:MASLD高リスク群を見逃してはいけない

 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)は、今や単なる肝疾患ではなく糖尿病、肥満、慢性腎臓病、心血管疾患などと密接に関連する全身疾患として捉えられる時代となった。実際、一般人口の約30%、2型糖尿病患者の約65%がMASLDを有するとされており、診療の主戦場は肝臓専門医のみならず一般内科医、糖尿病内科医、循環器内科医、さらにはプライマリケア医へと大きく広がっている。

 一方で、MASLD患者の全てが進行性肝疾患へ進展するわけではない。重要なのは、線維化進展リスクの高い患者、すなわちclinically significant fibrosis(線維化ステージF2以上)をいかに効率よく拾い上げ、適切なタイミングで専門医へつなぎ、近い将来、国内でも本格的な導入が期待される代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)治療薬へと結び付けられるかである。

 こうした背景の下、米国消化器病学会(AGA)を中心とした国際的多領域専門家パネルは、2026年版「Clinical Care Pathway for the Risk Stratification and Management of Patients With MASLD」を発表した(Gastroenterology 2026年3月9日オンライン版)。本論文は単なるガイドライン(GL)改訂にとどまらない。むしろ、MASLD診療を現実の医療システムの中でどのように実装するか、という視点を強く打ち出した点に大きな意義がある。

米田 正人(よねだ まさと)

横浜市立大学肝胆膵消化器病学主任教授

肝臓病学を専門とし、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)、肝線維化、肝硬変に関する診療・研究に幅広く従事している。特に、超音波エラストグラフィやMRIを用いた非侵襲的診断法(NITs)の開発・臨床実装を推進し、MASLDを全身疾患として捉えた病態解明と治療戦略の構築に取り組んでいる。国内外の多施設共同研究や国際共同研究にも積極的に参画している。日本消化器病学会・非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)およびMASLD診療ガイドラインでは作成委員を務め、日本におけるMASLD診療の発展と普及に貢献している。学会活動としては、日本消化器病学会評議員、日本肝臓学会評議員をはじめ、多くの学術団体において役職を務めている。

米田 正人
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