ドクターズアイ 新庄正宜(小児科)

「旧型」コロナが子どもを「新型」から守っていた?

呼吸器パネルで見つかる旧型コロナを探る

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研究の背景:呼吸器multiplex PCRで検出される、従来型(旧型)のかぜコロナウイルスにも注目

 最近広く行われている呼吸器multiplex PCR検査を行うと、従来型(旧型)のかぜコロナウイルス(以下、俗称“旧型コロナウイルス”)である、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、HCoV-HKU1の4種類が検出されることがある。「ただのかぜ」として見過ごされがちなウイルスであるが、今回紹介する論文はその臨床的意義についてあらためて考えさせられた内容である(Pediatr Infect Dis J 2026年2月27日オンライン版)。

 本論文の背景では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行初期から、小児では成人に比べて感染率や重症化率が低かったことを指摘している。その理由として、小児の自然免疫応答の違いに加え、旧型コロナウイルス感染による交叉免疫の関与も考えられてきたことが述べられている。

 COVID-19流行前に採取した検体からも新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に反応するT細胞や抗体が検出されることが報告されており、旧型コロナウイルス感染との関連が議論されてきた。しかし、その多くは免疫学的研究であり、実際に旧型コロナウイルス感染歴を有する小児が、その後COVID-19を発症しにくいかどうかを前向きに検討した研究は少なかった。

 本研究は、北海道富良野地域で2021年に発生したHCoV-NL63およびHCoV-OC43の流行データを利用し、その後のCOVID-19発症との関係を調べた前向きコホート研究である。当時の日本では小児COVID-19患者数がまだ少なく、小児へのSARS-CoV-2ワクチン接種も行われていなかったため、旧型コロナウイルス感染の影響を検討しやすい状況にあった。

新庄 正宜(しんじょう まさよし)

防衛医科大学校病院医療安全・感染対策部准教授/感染対策室長

1993年慶應義塾大学医学部卒業。国立霞ヶ浦病院、国立感染症研究所ウイルス第一部を経て、2013年より慶應義塾大学医学部小児科専任講師/慶應義塾大学病院感染制御部副部長。英国Birmingham Children's hospital、米国立衛生研究所(NIH)に短期留学歴あり。2026年4月より現職。小児科専門医・指導医、感染症専門医・指導医、ICD(インフェクションコントロールドクター)。また、感染症関連については幅広く活動し、日本小児感染症学会の理事、日本小児科学会代議員、日本感染症学会評議員、専門医試験委員会委員長を務める。

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