「LDL-C 55mg/dL未満」時代の到来
厳格管理の先にある課題を探る
研究の背景:残余リスク低減のためLDL-C管理目標値は厳格化の流れ
1990年代から2000年代初頭にかけて多くのスタチンによる心血管疾患(CVD)の予防効果がランダム化比較試験(RCT)によって示され、今では“The lower, the better”(コレステロールは低ければ低いほど良い)という概念が定着している (N Engl J Med 2015; 372: 2387-2397、Diabetes Care 2025; 48: 1481-1483)。
ただし、CETP阻害薬(関連記事「"HDL-C上昇薬"の悲劇と不可解」、「"HDL-C上昇薬"に生き残りの道は?」)や飽和脂肪酸制限(「怒りの論文投稿!『飽和脂肪酸制限』に医学的根拠なし」「患者指導に自信あり!『飽和脂肪酸OK』の根拠」)といった例外は存在し、古くは1985年に“Cholesterol and cardiovascular disease: no longer whether, but rather when, in whom, and how?” といわれ(Circulation 1985; 72: 686-691)、今なお “Lowering LDL cholesterol is good, but how and in whom?”(N Engl J Med 2015; 372: 1564-1565)という状況である。
しかしながら、スタチンが広く使われている現代医療の下でもなおCVDは(特に欧米において)主たる死因であり、その残余リスクをいかに低減させるか(いつから、誰を対象に、どのようにして)が臨床上の課題となっている(Lancet Reg Health Eur 2023; 36: 100774)。そして、それ故に、直近の各種学会のCVD二次(再発)予防のためのLDL-Cの管理目標はより厳格化されつつある(表1)。しかしその一方で、LDLコレステロール(LDL-C)55mg/dLを治療目標にすることについて、根拠は十分ではないというのが現状であった。
表1. 日米欧のCVD予防のためのLDL-C管理目標(mg/dL)

(山田悟氏作成)
そんな中、LDL-Cの管理目標を55mg/dL未満とした場合と従来の70mg/dL未満とした場合を比較して、55mg/dL未満の方がCVDの再発予防に優越性が見られることを、韓国のグループが報告した(N Engl J Med 2026; 394: 1365-1375)。既に米国心臓病学会(ACC.26)の速報として本サイトで取り上げられているが(関連記事「アジア人でもLDL-C 55mg/dL未満の優越性示す」)、今後のわが国のガイドラインの記載にも少なからず影響を与えるものと思い、あらためて考察したい。
全文を読むにはログインが必要です
ログインして全文を読む
無料でいますぐ
会員登録を行う
- ご利用無料、14.5万人の医師が利用
- 医学・医療の最新ニュースを毎日お届け
- ギフト券に交換可能なポイントプログラム
- 独自の特集・連載、学会レポートなど充実のコンテンツ
\ 60秒でかんたん登録 /
会員登録
山田 悟(やまだ さとる)
1994年、慶應義塾大学医学部を卒業し、同大学内科学教室に入局。東京都済生会中央病院などの勤務を経て、2002年から北里研究所病院で勤務。 現在、同院糖尿病センター長。診療に従事する傍ら、2型糖尿病についての臨床研究や1型糖尿病の動物実験を進める。日本糖尿病学会の糖尿病専門医および指導医
.jpg)










