薬価に惑わされるな!抗VEGF療法の新潮流
nAMD診療に生かすコスト最小化分析
研究の背景:効果は同等でも「社会コスト」は等しくない
新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)と糖尿病黄斑浮腫(DME)の標準治療は、いずれも抗血管内皮増殖因子(anti-VEGF)製剤の硝子体内注射である。臨床試験では視力・解剖学的アウトカムの非劣性が次々と示され、われわれは「どの薬でも同じ」という感覚に近づきつつある。
しかしヘルスエコノミクス(HEOR)の視点では、そう単純な話ではない。投与1回当たりの薬価だけでなく、年間投与回数、同日両眼治療の可否、通院アドヒアランス、外来キャパシティーが積み上がり、患者・家族・医療制度の総コストを大きく左右する。nAMDでは高齢患者の通院継続が治療成績と直結することがシステマティックレビューでも示されており、投与頻度の差は「小さな不便」ではなく経済的・臨床的に意味のある変数である。
今回紹介する論文は、投与間隔延長を設計思想とした高用量アフリベルセプト8mgについて、DMEを対象にイタリア国民保健制度の視点から経済評価した研究である(Adv Ther 2026; 43: 2439-2457)。アフリベルセプト8mg は、nAMDを対象としたPULSAR試験において、12週および16週間隔投与で従来の同薬2mg・8週間隔投与に対する視力改善効果の非劣性が示されている(Lancet 2024; 403: 1141-1152)。今回の分析フレームは日本のnAMD診療を考える上でも参照価値がある。
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