MASLD診療、「迷い」を減らすAI登場?
深層学習が切り開く線維化診断
研究の背景:「治療する」時代の到来とグレーゾーンの壁
これまで代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)診療における大きな課題は、肝生検を行わずに肝線維化を正確に評価することであった。FIB-4 indexやトランジェント・エラストグラフィ(VCTE)による肝硬度測定(LSM)、ELFスコアなどの非侵襲的検査(NITs)が普及し、進行線維化を有する患者を効率よく抽出できるようになった。
一方で、いずれの検査においても「低リスクとも高リスクとも言い切れない」グレーゾーンが残されている。今年(2026年)6月、日本でもGLP-1受容体作動薬セマグルチドが中等度から高度の線維化を有する非肝硬変の代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)に対して保険適用となり、MASLD診療は「見守る」から「治療する」時代へ移りつつある。治療選択肢が増えるほど、誰を治療し、誰を慎重に経過観察するのかを、より正確に判断する必要がある。
今回、Salvatore Petta氏らは、日常診療で得られる臨床データとLSMを深層学習(Deep Learning)によって統合し、従来のNITsに残されていたグレーゾーンを減らす線維化予測モデルを報告した(Clin Gastroenterol Hepatol 2026年7月20日オンライン版)。これまで判断に迷っていた症例について、もう少し確かな手がかりを加えようとする研究である。
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