ドクターズアイ 羽白誠(皮膚科/心療内科)

アルコール依存症治療薬が皮膚の痒みに効く⁉

術後の難治性瘙痒に対するnaltrexoneの治療症例を紹介

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研究の背景:naltrexoneはμ-オピオイド受容体を遮断、瘙痒を軽減

 オピオイド受容体拮抗薬naltrexoneは、アルコールやオピオイドによる快感や渇望を軽減する作用があり、アルコール依存症やオピオイド依存症の治療薬として米国で使用されている(日本では未承認)。主な作用機序の1つが、脳の腹側被蓋野(VTA)にあるガンマアミノ酪酸(GABA)介在ニューロン上のμ-オピオイド受容体(MOR)の遮断で、脳の報酬系におけるドパミンシグナルを抑制すると考えられている。

 一方、オピオイドは瘙痒の発生や増悪にも関与しており、モルヒネなどのオピオイドが副作用として瘙痒を引き起こすことや、内因性オピオイドが一部の瘙痒の病態に関与することが知られる。このため、MORを遮断するnaltrexoneには、オピオイドを介した瘙痒を抑える作用が期待されている。

 実際、naltrexoneは瘙痒症の標準的な治療薬ではないものの、これまで胆汁うっ滞性瘙痒症、尿毒症性瘙痒症、熱傷後瘙痒症などで有効性が報告されている。今回紹介するのは、こうした作用に着目し、抗ヒスタミン薬もステロイド外用薬も効かない難治性瘙痒にnaltrexoneを投与したところ、1週間で瘙痒が90%軽減したという症例である(Cureus 2026; 18: e105611)。

羽白 誠(はしろ まこと)

はしろクリニック院長。大阪大学大学院招聘教員

1986年大阪大学医学部卒業。1991年大阪大学大学院(皮膚科学)で博士課程修了。1994年箕面市立病院皮膚科医長、関西労災病院皮膚科医長、1999年大阪大学大学院非常勤講師、2001年国立大阪病院(現国立病院機構大阪医療センター)皮膚科部長、2004年大阪警察病院皮膚科部長、2008年神戸女学院大学人間科学部非常勤講師を経て、現職(大阪大学大学院招聘教員は2005年から)。

羽白 誠
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