ドクターズアイ 丹保亜希仁(救急医療)

重炭酸Na投与、鍵は「補充」の視点

血管収縮薬投与中患者対象のRCT

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研究の背景:血液ガス所見の改善は患者の益か?

 重症患者ではショック、敗血症、急性腎障害(AKI)などに伴って代謝性アシドーシスをしばしば認める。重度のアシデミアは循環動態を悪化させる可能性があるため、重炭酸ナトリウム(Na)による補正が患者転帰を改善することが期待されてきた。しかし、血液ガス所見の改善が臨床的な益につながるかは明らかでない。

 2018年に報告された第Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)BICAR-ICUでは、pH 7.20以下の重症アシデミア患者に重炭酸Naを投与しても、全体の28日死亡または第7病日での1つ以上の臓器不全の複合アウトカムは改善しなかった。だが、事前に設定した中等度から重度のAKI(AKIN分類stage 2または3)の患者においては、上記複合アウトカムや28日死亡、腎代替療法の実施が有意に減少した(Lancet 2018; 392: 31-40)。

 この結果を受けて実施されたBICARICU-2では、pH 7.20以下の重度のアシデミアにKDIGO分類stage 2または3のAKIを合併した患者が対象となった。重炭酸Na投与による主要アウトカムである90日死亡の改善は認めなかったものの、腎代替療法の実施率は低下した(JAMA 2025; 334: 2000-2010)。

 こうした中、SODa-BICでは、重炭酸Na投与が30日以内の死亡、腎代替療法の実施、持続的な腎機能障害を減少させるかが検証された(N Engl J Med 2026年6月12日オンライン版)。

丹保 亜希仁(たんぽ あきひと)

旭川医科大学救急医学講座准教授、旭川医科大学病院救命救急センター副センター長

2003年、旭川医科大学卒業、麻酔・蘇生学教室に入局。2005年に米・Medical College of Wisconsin麻酔科に留学し、帰国後は麻酔科から救急・集中治療領域へと徐々に軸足を移した。岩手県高度救命救急センター、名寄市立総合病院救命救急センター、市立旭川病院救急科などを経て、2023年より現職。興味・関心領域は気道管理、周産期救急・集中治療、ポイントオブケア超音波(気道・肺・ガイド下手技)、血栓性微小血管症(TMA)、急性血液浄化など。日本集中治療医学会機関誌編集・用語委員会委員長。高気圧潜水医学会北海道地方会会長。共著に『改訂第5版 日本救急医学会 ICLSコースガイドブック』(羊土社)などがある。

丹保 亜希仁
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