ドクターズアイ 米田正人(消化器内科)

GLP-1時代の肝線維化検査、「3時間絶食」は妥当?

成人23例対象の前向き研究

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研究の背景:胃排出遅延でVCTEの前処置は変わるか

 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)や肝硬変の診療において、振動制御一過性エラストグラフィ(VCTE)による肝硬度測定(LSM)は、肝線維化を非侵襲的に評価する標準的ツールとして広く用いられている。

 VCTEの測定値は食後の門脈血流および肝血流の増加によって偽性に高値を示すため、国際的なガイドラインなどでは検査前に「少なくとも3時間の絶食」が推奨されてきた。しかし、この推奨はGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)が普及する以前のコホート研究に基づくものである。

 近年、肥満、2型糖尿病、MASLDの治療としてGLP-1RAやGLP-1/GIP受容体作動薬のチルゼパチドの使用が急増しているが、これらの薬剤は胃排出能を遅延させ、食後血行動態を変化させる特性を持つ。そのため、GLP-1RA投与患者においても従来の「3時間絶食」でLSMが十分に正常化(ベースラインへの復帰)するかは解明されておらず、実臨床における前処置の妥当性の検証が課題となっていた。こうした中、Am J Gastroenterolに発表された論文を紹介する(2026年9月1日オンライン版)。

米田 正人(よねだ まさと)

横浜市立大学肝胆膵消化器病学主任教授

肝臓病学を専門とし、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)、肝線維化、肝硬変に関する診療・研究に幅広く従事している。特に、超音波エラストグラフィやMRIを用いた非侵襲的検査(NITs)の開発・臨床実装を推進し、MASLDを全身疾患として捉えた病態解明と治療戦略の構築に取り組んでいる。国内外の多施設共同研究や国際共同研究にも積極的に参画している。日本消化器病学会・非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)およびMASLD診療ガイドラインでは作成委員を務め、日本におけるMASLD診療の発展と普及に貢献している。学会活動としては、日本消化器病学会評議員、日本肝臓学会評議員をはじめ、多くの学術団体において役職を務めている。

米田 正人
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