ドクターズアイ 加藤忠史(精神)

ナルコレプシー根本治療薬、別格の臨床成績

他の向精神薬では考えられない、オベポレクストンの有効性

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研究の背景:従来治療は対症療法、オレキシンの欠乏が本態

 ナルコレプシーは、日中に耐えがたい眠気が繰り返し起こる過眠症であり、笑いや驚きなどの強い感情がきっかけで突然筋肉の力が抜けてしまう「カタプレキシー(情動脱力発作)」、睡眠麻痺(金縛り)、入眠時幻覚などのレム睡眠関連症状を伴う。

 ヒト白血球抗原(HLA)との100%との相関が報告されていることから、自己免疫が病態に関与する可能性が疑われている。

 ナルコレプシー患者では、脳脊髄液中のオレキシン濃度が低下しており、死後脳ではオレキシンニューロンの脱落を認めることから、おそらくは自己免疫により、オレキシンニューロンが失われることがその本態と考えられる。

 これまで、過眠に対してはメチルフェニデートやモダフィニルなどの精神刺激薬、カタプレキシーに対しては三環系抗うつ薬が用いられてきたが、いずれも対症療法であった。

 ナルコレプシーの原因を考えると、オレキシンの作用を補うことこそが根本治療となるはずである。そんな期待を抱かされるオレキシン2受容体作動薬オベポレクストンを武田薬品が開発し、2026年8月24日に日本国内での製造販売承認を取得した。おそらく年内には世界で初めて、日本で上市される見込みとなった。

 承認の根拠となった第Ⅲ相臨床試験の論文が医学最高峰のジャーナルに掲載されたので、その驚くべき内容を見てみよう(N Engl J Med 2026; 395: 1166-1179)。

加藤 忠史(かとう ただふみ) 

 順天堂大学精神医学講座主任教授。1988年東京大学医学部卒業、同病院で臨床研修、1989年滋賀医大精神医科大学講座助手、1994年同大学で医学博士取得、1995年米・アイオワ大学精神科に留学(10カ月間)。帰国後、1997年東京大学精神神経科助手、1999年同講師、2001年理化学研究所脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームリーダー、2019年理化学研究所脳神経科学研究センター副センター長を経て、2020年4月から現職。

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