ドクターズアイ 丹保亜希仁(救急医療)

「輸液反応性」と「輸液忍容性」は別物

敗血症性ショックでの多施設RCT

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研究の背景:「まだ輸液できるか」をどう見極めるか

 敗血症性ショックに対する初期の循環管理では、輸液は重要な治療の1つである。一方で、輸液には狭い治療域(therapeutic index)があり、過剰な輸液は害となりうる。輸液の必要性は、バイタルサインや超音波検査所見、乳酸値、毛細血管再充満時間(capillary refill time;CRT)などを用い、心拍出量(cardiac output)などのマクロな循環動態から組織灌流まで、循環を多面的に評価して判断する。

 また、輸液によって血流量が増加するかを予測する方法として、passive leg raising(PLR)などを用いた輸液反応性(fluid responsiveness)の評価がある。輸液反応性は、一時的に静脈還流を増やした際に1回拍出量(stroke volume)や心拍出量が増加するかを評価するものである。

 ただし、輸液反応性があっても、静脈うっ血や肺への水分貯留など、輸液に対する忍容性の低下を示す所見が併存することがある。すなわち、輸液によって1回拍出量や心拍出量が増える可能性と、患者がさらに輸液をどこまで許容できるかという輸液忍容性(fluid tolerance)は、別に考える必要がある。

 P. Melo氏らは、低灌流が残存し、かつ輸液反応性を認める敗血症性ショック患者を対象に、肺超音波スコア(lung ultrasound score;LUS)、Venous Excess Ultrasound(VExUS)、僧帽弁流入血流速度E波/外側僧帽弁輪運動速度e′(E/lateral e′)、中心静脈圧(central venous pressure;CVP)から「輸液不耐性シグナル」を評価し、その程度に応じて輸液量を調整する戦略について検討した(Crit Care 2026年9月26日オンライン版)。

丹保 亜希仁(たんぽ あきひと)

旭川医科大学救急医学講座准教授、旭川医科大学病院救命救急センター副センター長

2003年、旭川医科大学卒業、麻酔・蘇生学教室に入局。2005年に米・Medical College of Wisconsin麻酔科に留学し、帰国後は麻酔科から救急・集中治療領域へと徐々に軸足を移した。岩手県高度救命救急センター、名寄市立総合病院救命救急センター、市立旭川病院救急科などを経て、2023年より現職。興味・関心領域は気道管理、周産期救急・集中治療、ポイントオブケア超音波(気道・肺・ガイド下手技)、血栓性微小血管症(TMA)、急性血液浄化など。日本集中治療医学会機関誌編集・用語委員会委員長。高気圧潜水医学会北海道地方会会長。共著に『改訂第5版 日本救急医学会 ICLSコースガイドブック』(羊土社)などがある。

丹保 亜希仁
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