ドクターズアイ 倉原優(呼吸器)

期待の肺サルコイドーシス新薬、予想外の展開

Efzofitimodの第Ⅲ相試験で浮上したステロイド治療の課題

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背景:ステロイドの長期投与は多くの副作用、第Ⅱ相では減量効果が示唆

 肺サルコイドーシスの治療では、経口ステロイドが国際的な標準治療である。しかし長期投与は、体重増加、耐糖能異常、骨粗鬆症、日和見感染症など多くの副作用を伴う。日本のレセプトデータでも、ステロイド使用に伴う合併症の多さが報告されている(Cureus 2025; 17: e93054)。

 メトトレキサートやインフリキシマブといったステロイド節減薬もあるが、忍容性や入手しやすさの面で使いにくい場面が少なくない。2026年には世界サルコイドーシス・肉芽腫性疾患学会(WASOG)が、ステロイドは3~4か月程度の「つなぎの治療」と位置づけるべきだとする提言を出している(Lancet Respir Med 2026; 14: 363–374)。

 こうした中で開発されたのがefzofitimodである。これは、ヒスチジルtRNA合成酵素(HARS)のスプライス変異体を模した59アミノ酸の蛋白に、IgG1のFc部分を融合させた製剤である。マクロファージなどの骨髄系細胞に多く発現するニューロピリン2(NRP2)受容体に結合し、TNF、IL-1、IL-6などの炎症性メディエーターを抑える。免疫を「抑制」するのではなく「調整」する薬剤とされ、第Ⅱ相試験ではステロイド減量効果が示唆されていた(Chest 2023; 163: 881–890)。

 今回紹介するのは、efzofitimodのステロイド節減効果を検証した第Ⅲ相試験である(Lancet Respir Med 2026年10月26日オンライン)。日本を含む9カ国85施設で実施され、米国クリーブランドクリニックのCulver氏らが報告した。肺サルコイドーシスで行われたランダム化比較試験としては過去最大規模であり、現行のステロイド治療に一石を投じる予想外の展開となった。

倉原 優(くらはら ゆう)

国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科

2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。

倉原優
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