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心アミロイドーシス、医療格差解消の糸口は

診断・治療法は大きく前進

2023年02月24日 17:20

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 毎年、2月末日は「世界希少・難治性疾患の日(Rare Disease Day;RDD)」である。2月16日、ファイザーが希少疾患の1つである心アミロイドーシスに関するプレスセミナーを開催。登壇した慶應義塾大学循環器内科専任講師の遠藤仁氏は、心アミロイドーシスの潜在的な患者数は必ずしも少なくないため、疾患啓発や地域格差解消による早期の診断・治療が重要であると訴えた(関連記事:「激変するATTRアミロイドーシスの治療戦略」)。

ATTR-CMの潜在患者数は1万人以上か

 心アミロイドーシスは、心臓の間質にアミロイド線維が沈着して心不全、不整脈などを引き起こす疾患である。病型は免疫グロブリン軽鎖(AL)アミロイドーシスとトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)に大別され、ATTR-CMはさらに遺伝子変異の有無で遺伝性(ATTRv)と野生型(ATTRwt)に分けられる。

 近年は画像検査法の進歩などにより、特にATTRwtアミロイドーシスで確定診断される患者数が大幅に増加しており、2019年には経口薬タファミジスメグルミン(商品名ビンダケル)がATTR-CMに対し適応が拡大されるなど、ATTR-CM診療はこの数年で劇的に変化している。一方、「ATTR-CMの認知度は必ずしも高くなく、さまざまな心疾患との鑑別がなされていないケースが多い」と遠藤氏。日本循環器学会が2016年度に行った調査結果を基に試算すると、日本では1万人以上のATTR-CM患者が潜伏している可能性があるという。

2020年にはPYPシンチが保険収載

 潜在的なATTR-CM患者を的確に拾い上げるために進められているのが、早期診断に向けた疾患啓発と地域格差の解消である。前者については、日本循環器学会が2020年に『心アミロイドーシス診療ガイドライン』を刊行して診断アルゴリズムを提示した他(関連記事:「〔第5回〕心アミロイドーシス診療ガイドライン」)、各施設でATTR-CMが背景にある場合が多い手根管症候群に関する整形外科と循環器内科の連携が進められている。

 また、ATTR-CMの早期診断において最も重要なのが、99mTcピロリン酸を用いた骨シンチグラフィ(PYPシンチ)である。しかし、日本ではPYPシンチ施行はいまだ均霑化されておらず、「そのことが地域によっては診断のボトルネックとなっている可能性がある」と遠藤氏は指摘する。この問題について、日本循環器学会はPYPシンチの適応外使用事例を厚生労働省に申請、2020年5月からATTR-CMの診断に対する保険診療での使用が可能となった(関連記事:「心アミロイドーシスの検査が保険診療に」)。

 慶應義塾大学病院でも、地域格差解消に向け遠隔診療システムを構築しており、将来的にはATTR-CM診断への応用も検討しているという。同氏は「ATTR-CMは潜在的な患者数が多いことが分かってきている。今後は、遠隔地在住の患者に対しても診療の手が届くようにしたい」と展望した。

(編集部)

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