医療経済の観点からみた消化器診療の方向性
統合プログラム5(JDDW・日本消化器外科学会・日本消化器病学会・日本消化器内視鏡学会・日本肝臓学会・日本消化器がん検診学会)
11月2日(土) 9:00〜12:00 第6会場(ポートピアホテル 大輪田B)
佐野 武 氏
がん研有明病院
北川 雄光 氏
慶應義塾大・外科
久津見 弘 氏
明石市立市民病院
迫井 正深 氏
厚生労働省・医務技監
井上 貴裕 氏
千葉大附属病院・病院経営管理学研究センター
石橋 史明 氏
国際医療福祉大市川病院・消化器内科
関口 正宇 氏
国立がん研究センター中央病院・内視鏡科,国立がん研究センター中央病院・検診センター
高山 裕司 氏
自治医大さいたま医療センター・一般・消化器外科
池澤 和人 氏
筑波記念病院・消化器内科
岩井 直人 氏
京都府立医大・消化器内科
出口 勝也 氏
埼玉医大国際医療センター・下部消化管外科
上野 真行 氏
倉敷中央病院・消化器内科
藤田 祐司 氏
NTT東日本関東病院・肝胆膵内科



日本の医療者はこれまで、診療コストに対する意識が乏しく、むしろ不要と考えられる検査や治療が行われていた実態がある。しかし、がん分子標的薬など超高額の薬剤が使用されるようになり、国民皆保険制度そのものが立ち行かなくなる恐れが現実味を帯びつつある。本セッションでは、その治療や検査を本当に行う必要があるのか、結果的に費用効果はどれほどなのかを多角的に検討する。
QALYやICERを検討し、問題提起
最初の2演題で、医療経済に関する問題の全体像を把握する。基調講演を担当する迫井正深氏は、厚生労働省の医務技監の立場から国全体の医療経済にまつわる課題を提示する予定だ。指定演題を発表する井上貴裕氏は、医療費の上昇と関連するとされる急性期病床に着目。国が進める地域医療構想では、病床数が多めに見積もられている可能性を指摘する。急性期病院入院患者の居住地別に10万人当たりの退院患者数を集計し、データから今後の医療政策の論点を明らかにする。
石橋史明氏、関口正宇氏、高山裕司氏は、発表テーマに検診を取り上げる。石橋氏は、H. pylori(Hp)感染率の低い集団への上部消化管内視鏡検査(EGD)の毎年の実施は費用効果が低いと考える。Hp未感染胃腫瘍(HpNGN)発見のために、EGDの開始年齢や実施間隔が異なる9種のスクリーニング戦略を考案。シミュレーションにより、最適な戦略を検討する。関口氏は、健康状態がQOLに与える影響を定量化した質調整生存年数(QALY)を考慮し、40歳以上の受診者に対する便潜血検診とスクリーニング大腸内視鏡検診の有用性について、検診受診率、精検受診率、がんリスクの違いで比較する。また、主なガイドラインでは大腸がん患者の術後サーベイランス期間として5年間が推奨されているが、高山氏は大腸がんのステージ別にQALY獲得のために発生するコスト(増分費用効果費:ICER)の観点から問い直す。
治療に関する課題は、池澤和人氏、岩井直人氏、出口勝也氏、上野真行氏、藤田祐司氏が報告する。池澤氏は早期胃がんに対する内視鏡治療時に発生した人工潰瘍への処方動向を集計。注射剤を処方した場合の人的コストについても考察する。岩井氏は、超高齢者に対する胃内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)の予後改善効果を解析し、ESD後の早期死亡との関連因子を探る。出口氏は、結腸がんにおいて急速に普及する手術支援ロボットの有用性について、ロボットの維持費や治療のICERを踏まえ報告する。上野氏は、入院後早期の栄養管理開始による有益性が知られているものの、実施率が低い急性膵炎への栄養管理について、入院費との関連から再検証する。最後は、進行が遅く一部でがん化する可能性のある膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)に関する演題である。高リスクIPMN患者では切除となるが、術後観察も考慮すると医療費は膨大なため、実施には議論の余地があるという。平均年齢80歳前後の高リスク患者を対象とした研究結果を踏まえ、藤田氏は経過観察を行っても予後に影響を及ぼさない可能性がある、と考える。
司会の佐野武氏は、「本セッションを通して、全ての医療者が常に費用効果を意識し、日常診療で治療や検査の要否を判断するようになってほしい」と述べている。
※本記事の内容は取材時点での情報です。当日に変更となる場合があります。

第67回日本消化器病学会大会
[会長]上野 義之
山形大学 内科学第二(消化器内科学)
第110回日本消化器内視鏡学会総会
[会長]田中 聖人
第29回日本肝臓学会大会
[会長]加藤 直也
千葉大学大学院 消化器内科学
第23回日本消化器外科学会大会
[会長]瀧口 修司
名古屋市立大学大学院 消化器外科学
第63回日本消化器がん検診学会大会
[会長]岡庭 信司
飯田市立病院 消化器内科
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