寄稿

HPVワクチン「差し控え世代」で子宮頸がんリスク上昇、学会で報告

医療ジャーナリスト 村上和巳

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 先ごろ、Lancet2026年6月17日オンライン版)に掲載された英・Queen Mary University of Londonのグループの研究で、2008年に学齢期女子へのヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種を開始したイングランドでは、2020~24年に20~24歳女性の子宮頸がんによる死亡例が認められなかったことが報告された(関連記事:「HPVワクチンで子宮頸がん死ゼロ世代も」)。

 HPVワクチンをめぐっては、日本では2013年6月〜21年11月に積極的勧奨が差し控えられた。その後、2022年4月に積極的勧奨が再開されるとともに、勧奨差し控えの影響で接種機会を逃した1997~2007年度生まれの女性を対象としたキャッチアップ接種が開始され、2025年3月末まで実施された。

 Lancetの報告が示すように、子宮頸がんに対するHPVワクチンの有用性は明らかである。一方、日本における約8年半の勧奨差し控えはどのような影響を及ぼしているのか。和歌山県立医科大学先進予防・健康医学講座の八木麻未氏と大阪大学大学院産科学婦人科学教室の中井麻稀氏らによる研究で、HPVワクチンの積極的勧奨の一時中止が、2000年度以降に生まれた女性、特に2000~05年度生まれの女性の将来の子宮頸がん罹患リスクに長期的な影を落としていることが分かった。研究の詳細が第2回日本医療政策学会(6月20日)で発表されたので、紹介したい。

村上 和巳(むらかみ かずみ)

医療ジャーナリスト/日本医学ジャーナリスト協会理事

医療専門紙の記者を経て、2001年からフリーランスのジャーナリストとして活動。医療、災害・防災、国際紛争を中心に、各種メディアで執筆活動を行う。共著に、東日本大震災から3年目をレポートした『震災以降』、一般向けにがんの知識をまとめた『二人に一人ががんになる』がある。

村上 和巳
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