ドクターズアイ 鈴木重明(脳神経内科)

皮膚生検でパーキンソン病を早期診断できるか

皮膚神経内リン酸化α-シヌクレインと末梢自律神経評価の可能性

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研究の背景:発症早期の鑑別で求められる客観的なバイオマーカー

 パーキンソン病(PD)は日常診療で頻繁に遭遇する神経変性疾患だが、発症早期の診断は容易でない。寡動、筋強剛、静止時振戦が典型症状とされるものの初期には症状がそろわず本態性振戦、ジストニア性振戦、血管性パーキンソニズム、進行性核上性麻痺(PSP)、多系統萎縮症(MSA)などとの鑑別に迷うことがある。特に寡動が明確でない振戦優位例、DAT-SPECT異常を認めるが臨床像が非典型的な例、レボドパ反応性の判断が難しい例では、「PDらしいが診断基準を満たさない」状況が生じる。このような症例では患者説明、治療開始時期、予後予測、臨床試験への組み入れにおいて、客観的なバイオマーカーが求められる

 PDの病理学的特徴はα-シヌクレインの異常蓄積である。近年、脳だけでなく、皮膚の自律神経線維にもリン酸化α-シヌクレイン(p-α-syn)が沈着することが報告されている。こうした背景から、Donadioらは発症18カ月未満の早期パーキンソニズム患者を前向きに追跡し、皮膚神経内p-α-synが早期PD診断にどの程度有用かを検証した(Brain 2026; 149: 856–866)。本研究は、早期診断に悩む臨床医にとって極めて実践的な問いに答えるものといえる。

【監修】鈴木 重明(すずき しげあき)

東京都立神経病院脳神経内科、副院長

1968年東京生まれ。慶應義塾高校から慶應義塾大学医学部に進学し、1993年卒業。ニューヨーク医科大学留学、慶應義塾大学准教授(内科学・神経)を経て、2025年4月より現職。重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン(日本神経学会)、がん免疫療法ガイドライン(日本臨床腫瘍学会)、スタチン不耐に関する診療指針(日本動脈硬化学会)の作成メンバー。都立神経病院では自己免疫ラボを立ち上げ、重症筋無力症、炎症性筋疾患、免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象など自己免疫疾患の臨床研究を展開中。

鈴木重明

【執筆】清水 崇宏(しみず たかひろ)

東京都立神経病院脳神経内科医長

1981年静岡県生まれ。2006年信州大学医学部卒業後、東京大学病院、横浜労災病院、日本赤十字社医療センターで脳神経内科医として研鑽を積む。東京大学大学院博士課程修了後、北里大学脳神経内科(助教)、鳥取大学脳神経内科(講師)を経て、2024年7月より現職。主にパーキンソン病類縁疾患や運動失調症を対象として、神経生理学的な手法を用いた新しい客観的評価法やバイオマーカー開発を取り組んでいる。日本臨床神経生理学会代議員、日本パーキンソン病・運動障害疾患学会(MDSJ)評議員。

清水崇宏
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