JDDW 2026:診療科を越えて集う、消化器病学の最前線
第68回日本消化器病学会大会 会長
東北大学大学院 消化器外科学 教授
海野 倫明
※氏名は敬称略

消化器病診療は、「消化器内科が診断し、消化器外科が治療する」という役割分担から、内科と外科がクロスオーバーして診療に当たる時代へと変わってきました。「消化器病学」は内科・外科の区別がない学問領域と定義でき、内科医、外科医に加え、放射線科医や病理医などが集まるJDDWは、診療科の枠を越えて「消化器病学」が議論される場です。
今回、日本消化器病学会では、病態の理解を深め、診断や治療に役立てることを重視してプログラムを設けました。遺伝子解析をはじめとする研究手法が進歩し、病態に関与する遺伝子や細胞が次第に明らかになっています。病態を理解することは、高リスク群の抽出や早期発見、薬剤選択、手術適応の判断など、臨床にもつながります。
近年、消化器がんにおいても、生まれ持った遺伝子変異が発症に関与するケースは、まれではないことが分かってきました。そこで注目されるのが、統合プログラム1「遺伝性疾患に伴う消化器癌の診断・サーベイランス・治療」です。遺伝子変異を把握し、本人や血縁者への継続的なサーベイランスによって、がんの早期発見が期待できます。また、進行がんとなった場合にも、遺伝子情報に基づいた薬剤選択や手術方針の検討につなげることができます。
かつては治療が極めて難しいと考えられていた膵がんですが、診断技術や薬物療法、外科治療は大きく前進しています。シンポジウム9「膵癌診断と治療の進歩」は、内科医と外科医が膵がん診療の歩みを振り返る企画です。統合プログラム5「アルコールと消化器疾患」では、食道がん、慢性膵炎、肝硬変など、飲酒が関係する疾患を臓器横断的に取り上げます。また、JKT-DDWの合同セッション「日本、韓国、台湾での全国規模の取り組みに基づく胃癌治療の国際標準化に向けた将来的展望」では胃がん医療の最先端に触れられます。
特別講演「東北メディカル・メガバンクと未来の医療への挑戦」では、東北大学東北メディカル・メガバンク前機構長の山本雅之氏が登壇し、東日本大震災以降に蓄積されてきた大規模な地域住民の遺伝情報と健康情報の解析結果を提示します。長期追跡により見えてきた遺伝的背景と疾患発症との関係について、貴重なデータが示されるでしょう。
現地参加での一興として、企業展示を回るスタンプラリーの開催を予定しています。景品には、ずんだ餅や、今や大人気で入手困難な「シーラカンスモナカ」など、私の出身地である仙台の銘菓をたくさん用意しています。ぜひ、神戸の会場に足を運び、仙台の美味を味わいながら、セッションを巡り、新たな知識や人との出会いを楽しんでください。
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