JDDW 2026:多領域の英知の結集により、1人でも多くの患者を救う
第24回日本消化器外科学会大会 会長/
防衛医科大学校 外科 教授
上野 秀樹
※氏名は敬称略

消化器外科は今、大きな変革期を迎えており、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの薬物療法の登場をはじめ、放射線治療、画像・内視鏡診断、手術手技の進歩により、従来は切除不能と判断されていた悪性腫瘍症例に対する手術の適用機会が増えています。
中でも重要なキーワードがConversion Surgeryで、この数年で手術不能症例にも新たな治療選択肢が生まれています。Conversion Surgeryの発展には、外科だけでなく、腫瘍内科、放射線科、内視鏡診療、画像診断、病理、基礎研究など、多領域の知見を有機的に組み合わせる必要があります。そこで今回、日本消化器外科学会では「救えなかったがん患者の命と機能、今日から救う」をテーマに、多領域の英知を結集する企画を多数設けました。
まず、Strategic International Session 4「大腸がん肝転移に対する肝切除:治療戦略と成績における東西の融合」では、日本と欧米の治療戦略を比較し、それぞれの長所の共有を通じ、外科技術と腫瘍生物学を融合した最適な治療体系について議論します。
腹腔鏡手術、ロボット支援手術、内視鏡治療には、術後QOLや整容性の面で大きな利点がある一方で、根治性や長期予後、合併症低減に関するエビデンスは十分でない領域があります。消耗品やデバイスの費用効果も課題です。JDDW統合プログラム3「消化器疾患に対する低侵襲治療の進化と功罪」では、低侵襲化をゴールとするのではなく、患者にとって真に有益な治療とは何かを多角的に検討します。
欧米では胃がんは比較的まれですが、日本を含む東アジアでは重要な疾患であり、治療の標準化に向けてエビデンスを発信する責務があります。The 10th Joint Session between JKT-DDW2「日本、韓国、台湾での全国規模の取り組みに基づく胃癌治療の国際標準化に向けた将来的展望」では、各地域が進めている取り組みを紹介します。互いの課題を認識することは、治療成績のさらなる向上につながるでしょう。
消化器がんの外科治療の発展には、病理学的な理解も欠かせません。招待講演では、消化管病理の世界的な専門家であり、病理学的観点からSurgical Qualityを評価してきたPhilip Quirke氏を招聘します。同氏の講演では、欧米と日本の外科診療の違いについて、多くの示唆が得られるでしょう。さらに、会長講演「出会いの妙に恵まれて~何て素晴らしい消化器外科の世界!」では、病理学にアプローチする意義や、病理学との連携が臨床の発展に寄与する可能性について、外科医の立場から講演する予定です。
JDDWの最大の特徴は、他領域の専門家の考えに直接触れられることです。特に現地参加する若手医師には、ぜひ名刺を片手に会場を巡ってほしいと思います。セッション後に登壇者に声をかけたことが、新しい共同研究や人的ネットワークが生まれるきっかけになるかもしれません。オンライン参加の場合には、セッション間を移動する必要がないという利便性を最大限に活用してください。自身の研究や臨床の新たな展開につなげる機会として、JDDW 2026を大いに役立てていただきたいと思います。
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